古代エジプト人にとって、太陽の沈む西方は死者の世界とされていました。王家の谷など、死後の世界にまつわる建築物が多く点在します。

ルクソール市街からナイル川を渡り、王家の谷に向かう途中に忽然と現れます。アメンヘテプ3世の像と言われている2体の像です。以前は、風が吹くと泣き声のような音を出していましたが、2世紀頃の修復により音は出なくなりました。側面には、アメンヘテプ3世の名前と、セマァ・タァウイの儀式の彫刻が見られます。入場無料。

メムノンの巨像右側 左側像の側面に描かれたセマァ・タァウイの儀式

トトメス3世の義母で、その後見役の地位を利用してファラオとなった、ハトシェプスト女王の建築した葬祭殿です。
入場料12LE、カメラ無料(2001年10月現在)

ハトシェプスト女王葬祭殿全景

王家の谷はこの向こう側になる
牝牛の姿をとるハトホル女神 ハトホル女神の頭部をあしらった石柱

王家の谷には、新王国時代のファラオの墓が集中して作られました。墓泥棒からミイラや副葬品を守るために、目立たないよう、岩窟墓の形で作られています。現在までに64の墓が発見されています(Valley of the KingsからKV64などと表記します。KV64は未調査)。62番目の墓がツタンカーメンの墓です。すべての墓が公開されている訳ではありません。3つの墓を見学できるチケットが20LE、ツタンカーメンの墓は40LEです。カメラの持ち込みは、カメラチケットを購入する必要があり、5LEです。ただし、ツタンカーメンの墓にカメラを持ち込む事は出来ません。墓にはツタンカーメンのミイラが安置されていると言う理由からです。

ラー・ホルアクティ神に向き合うラムセス4世 ハトホル女神にアンクを授けられるアメンヘテプ2世
天井には星がびっしりと描かれている


神々に貢物をするラムセス3世
ヌト女神の口から飲み込まれる太陽
(ラムセス4世墳墓天井部)
びっしりと書き込まれている文字は、ほとんどが年月日である。おそらく暦のようなものではないかと想像している。
玄室に横たわるメルエンプタハのオシリス像
駐車場からチケット売り場までの移動はこれで





デル・エル・メディナはアメンヘテプ1世により開かれた、墳墓建設の労働者の村です。墳墓の秘密を守るため、村民は仕事場との往復以外村から出る事は許されず、常に監視されていたそうです。彼らの墓は、さすがに墓職人だけあって見事な壁画が多数残されています。特にセン・ネジェムの墓は必見です。

デル・エル・メディナの村の様子
セン・ネジェム夫妻がヌト女神から水を与えられている
セン・ネジェム夫妻とその子供達
自身のバアと向き合うセン・ネジェム
バアとは魂のようなものですが、古代エジプト人は、人の体はカー、バア、アクの3つの要素から成り立っていると考えていました。カーやバアは死後も不滅で、バアは夜になると自分の墓を訪れ、供物を食べると考えられていました。そのため遺族は墓への供物を絶やしませんでした。





新王国時代の歴代のファラオに仕えていた貴族達の墓がクルナ村にあります。パピルスに良く登場する「3人の女楽師」が描かれているナクトの墓、「職業的泣き女」のラモーセの墓などが有名です。

職業的泣き女
死者が運ばれる道すがら、お金をもらい悲しみを演出する「泣き女」という職業があったようです。葬られている主はラモーセと言う18王朝の貴族です。
ウセルハトの墓
ウセルハトはアメンヘテプ2世に仕えた貴族。彼は狩猟好きだったらしく、彼の墓の壁画には狩をする光景が多々描かれています。